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オーストラリアにおける税務ガバナンスに関する期待その準備の必要性

荒川尚子
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オーストラリア国税局(ATO)から監査・レビューを受けるための理想的なタイミングというものは存在しません。準備できていない場合には、時間の約束(そしておそらくは費用)が重大なものとなる可能性があります。
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今まで以上に必然的なATOレビューに対する準備を確実にするために、焦点を置くことが必要です。これを怠れば、財務リスクを生み出すだけでなく、ATO監査の延長に時間をかけてコミットするという形で商業リスクを生み出す可能性もでてきます。

特に、納税者の文書化された税務ガバナンス手続のレベルに関して、ATOの期待が高まっていることは明らかです。文書化された税務ガバナンスは、いわゆる最低限のものです。現在、ATOはこのような文書が存在し、要請に応じて容易に入手できるということを期待しています。

文書化された税務ガバナンス・プロセスを容易に提供できず、また、税務ガバナンスが実際に事業においてどのように実施されているかの証拠を提供できない場合、ATOの興味を引いてしまう可能性が高いです。税務ガバナンス・テンプレートは存在しないため、貴社の税務ガバナンスがどのようなものであるべきかを検討する際には、注意が必要です。

税務ガバナンス

ATOは、ガバナンス文書の欠如と最も一般的な税務ミスとの間に相関があることを指摘しています。説明責任の管理は、税務ガバナンスにおいて個人が果たす特定の役割に関して企業に期待されるものです。ATOは、税務に関する主要な担当者の責任が文書化されていることが、良好な税務ガバナンスにとって極めて重要であることを強調しています。

まずは、税務上の問題をどのように考慮し、また、それらが内部環境においてどこに弱点があるかを分析する方法を示す文書を作成することから始めます。また、外部の第三者が関連するガバナンスの文書や手続きの実施状況を評価し、適切な基準で、有効であることを確認することも大切です。

税務問題は、スプレッドシートや調書に限定されるべきではありません。今日の税務状況の中で効果的なコンプライアンスを実証するために、税務はあらゆるレベルで統合されており、企業の理事会にとって重要な考慮事項であるべきです。税務ガバナンスを文書化した企業にとっては、イントラネットに掲載されているミッション・ステートメントだけではなく、実施することも同様に重要です。

企業が日常的なコンプライアンス要件をどのように扱うかを示す方法が整備されていることも重要です。つまり、税務リスクのいかなる領域(連邦税のみならず州税も含め)においてもカバーし、また、そのようなリスクの受容された重要性のレベルを定義する、適切な文書化された手順が整備されているということです。同様に、非典型的な取引が生じる場合には、ガバナンス手続きは、それらが内部で取り扱われる場合、または外部のアドバイザーが必要とされる場合に備えるべきです。

実際に、ATOは、企業が非定型取引をどのように扱うかを検討した文書を賞賛しています。非定型取引が発生した場合に企業方針が実施され、そのような取引の税務上の影響を検証するためのエスカレーション手続が存在することを確保することは、税務ガバナンスにおいて極めて重要だからです。そのような取引の社内評価の重要性と快適性が懸念される原因(定義された重要性に基づく)を生み出す場合、税務リスクを軽減するために、早期に外部の税務アドバイスを求めることがとても重要です。

ATO監査・レビューの結果税務上の誤りが多いとされている事項は次になります:

  • 関連当事者取引の取扱い、
  • 誤った法人税上のロスやキャピタル・ロスの使用
  • 重要な資産の売却の取扱い。

上記のような取引の大半は、毎日発生するものではないかもしれませんが、税務ガバナンス文書は、これらの項目を内部(および潜在的に外部)でどのように扱う必要があるかについて明確に説明することが重要です。

連絡先

GTオーストラリアの専門家チームは、法人税コンプライアンスやアドバイザリーに関する豊富な経験をもとに無駄のないアプローチを提案します。貴社にとってどのような税務ガバナンスが望ましいか等ご質問等ありましたら、ご連絡ください。