税務ガバナンスの枠組みにESGを組み込むべき理由

オーストラリア国税局（ATO）は透明性とガバナンスに焦点を当てていることは重々承知ですが、これは実質的にどのようなことかというと、課税義務が、当該グループの税務リスク・アペタイトに沿って事業が運営されていることを確認するために、方針、枠組み、統制に適切に組み込まれていることを確認するということです。

なぜESGは税金の点でも重要なのか

税務は付加価値要素となりえます。つまり、ESG戦略全体に税金を先行的に関与させることで、ESG投資に対するリターンを最大化したり、組織の活動の税負担を軽減したりするのに役立つのです。

最近の環境税や税制上の恩恵(例えば、税額控除やインセンティブ)の上昇によって実証されていうように、政府は、ビジネスの行動の変化を促すために税金を用いることが多々あります。よって、税務はビジネス変化の主要な推進力とも言えます。

また、税務の統制とコンプライアンスが最優先事項であることを証明するために、投資家やステークホルダーから企業への圧力が高まっています。その結果、機関投資家は、ESG・税務透明性の観点から、不適合と認識している企業を選定基準から除外し始めているのです。

これを受けて、企業はESGのコミットメントと合致し、それに見合った明確な税制政策を打ち出すことが期待されています。

ATOが期待すること

一般的に税務リスク・ガバナンスの重要要素には税法の遵守、申告書の提出、適正な税額の納税などが含まれることはご承知の通りです。

ただし、最近ではATOが透明性と優れたコーポレート・ガバナンスを推進するうえで重要な役割を果たし始めており、これはESGの倫理と密接に関連しています。その目的は、税リスクの責任を「オフィス内の税務部」から取締役や取締役会の直接管轄下とすることでした。取締役、経営陣や取締役会は、貴社が実効性のある強固な税務リスク管理およびガバナンスの枠組みを備えていることを示さなければなりません。透明性のある税制政策は、企業がESGへの幅広い貢献を示し、コミュニティやステークホルダーの信頼を構築するための強力なツールとなりうるという利点もあります。

正当化された”Justified Trust” (Link)信頼方法から、ATOは、正しい税金が納税者によって支払われているという確信を得ることを目指しています。確信を得るための重要な側面の1つは、適切な税務ガバナンスプロセスの証拠です。優れた税ガバナンスの枠組みがあれば、これは健全な内部プロセスが整備されていることを意味します。その結果、ATOが、貴社、つまり納税者、が適正な額の税金を支払っていることをより確実にするのに役立ちます。

この信頼アプローチを適用するためには、税務全般にわたって適切なガバナンスの証拠が必要です。所得税、移転価格税制、GST、研究開発(R&D)税制優遇税制、雇用税制について、いくつかのグループのアプローチを概説した社内方針の文書がATOから期待されています。

実はATOは、納税者が正しい税額を納めているという確信を得るために何を求めているかについて、広範なガイドラインを公表しています。この枠組みをまとめることができないと、ATOの精査が増えたり、その結果として以下を招く可能性もあります:

• 貴社が行った事業活動と税務上の立場の詳細な見直し
• 税制、税務プロセス、税務管理の厳しい精査

したがって、重視すべきは、ビジネスにおける重大なリスクに焦点を当て、ビジネスにとって重要なこれらのリスクに対処し、管理するためのプロセスと手順を含め、適切な税務ガバナンスの枠組みを確実にしていくことです。

GTオーストラリア

GTオーストラリアではレピュテーションが鍵であることを理解しています。そして、そのリスクを軽減するための強固な枠組みを整備することが重要であるとも理解しています。

当社では以下のサポートとしています:

• 貴社の税務リスク管理やガバナンスフレームワークの現状をATOのガイダンスに照らして評価する
• ATOの要件を満たすために必要な改善を推奨する
• 税務リスク管理およびガバナンスに関する方針とフレームワークを文書化する
• 実施された解決策を監視するための勧告と統制の実施を支援する
• 貴社の税務統制が効果的に運用されていることをATOに証明するために、貴社の税務統制の内部監査レビューを実施する
• 貴社と協力して、貴社の組織がATOレビューのための適切な準備をしていることを確認する